現代民俗学会第40回研究会

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開催概要

会期
2017年12月17日(日) 14:00~17:30
開催地
関東 > 東京都
会場
早稲田大学 早稲田キャンパス 3号館304教室 [アクセス
〒169-8050 新宿区西早稲田1-6-1
メインテーマ
公式サイト
http://gendaiminzoku.com/meeting.html#meeting40
主催
現代民俗学会
協賛・後援等
【共催】科研費基盤研究(C)「都市祭礼における「競技化」の民俗学的研究」(研究代表者:阿南透)

プログラム 内容

発表者

  • 伊藤純(早稲田大学人間総合研究センター)
    「「競い」にみる祭芸分離の諸相」
  • 中里亮平(長野大学非常勤講師)
    「綱引きからみるスポーツと民俗の間」
  • 田邊元(富山大学芸術文化学部)
    「「技法の復興」を目指す人々」

コメント:阿南透(江戸川大学社会学部)
コーディネーター:伊藤純

趣旨

 祭礼や芸能・スポーツにおける「競い」の光景は、 時として見る者を魅了し、「競い」 の当事者たちの社会的背景を見る者に想像させる。それは「 彼らは何故、あれほどに熱狂しているのだろうか」 という他者理解への素朴な問いの姿でもある。もっとも、 ここで示す「競い」とは、派手で大掛かりなものだけでない。 日常生活で醸成されたライバリティが発露する場合や、 一見すると見過ごされがちな「競い」の場面もある。あるいは、 思いがけないきっかけで祭礼や芸能が開かれ、「競い」 の仕組みが形成されることもあるだろう。 こうした様々な局面で表れる「競い」 の事象に民俗学は長らく関心を寄せてきた。
 「競い」に注目することは、 おもに次のような問題群において考察の有効性が認められよう。 第一に「競い」によって引き起こされる祭礼や芸能の競技化・ ゲーム化・共同体化といった変化の構造について。第二に真正性、 巧拙、審美、楽しみ、ウチ/ソトの基準といった「競い」 の場面で露わになる社会的感性について。第三には「競い」 を引き起こす社会制度や地域経済、コマーシャリズム、 プロフェッショナリズムなど社会的要因について。第四には「 競い」の場において異なるグループを行き来し、 立ち振る舞いながら調査・ 研究を行う民俗学者じしんのポジショナリティについてである。
 そこで本研究会では、芸能研究の立場から伊藤純氏が「芸の技巧化によって開かれるネットワ ーク」について、祭礼研究の立場から中里亮平氏が「綱引きからみるスポーツと民俗の間」について、スポーツ人類学の立場から田邊元氏が「技法の「復興」を巡る実践」について報告し、 阿南透氏を交えて討議する。これまで「競い」 について注目してきた祭礼・芸能・ スポーツ研究のそれぞれの論点を見直し、 さらに事例をもとに芸能・祭礼・スポーツ研究の可能性と問題点、 今後の展望について議論する場としたい。 (文責:伊藤)

伊藤純(早稲田大学人間総合研究センター)

「「競い」にみる祭芸分離の諸相」

 民俗芸能では、集団への加入とともに先輩らの芸を学習・修練し、また近隣の芸能や類似の芸能どうしの交流のなかで、求め/求められる芸を体得していく。換言すれば、芸能の身体伝承とは彼我の芸の交渉のなかで作り上げられていくともいえる。こうした芸の形成過程において、度々あらわれる競いの局面は自らの芸を省みる絶好の機会といえよう。
 本報告では、舞台芸術として市民権を得た和太鼓文化との接触を機に、ネットワーク的にその芸が広がった民俗芸能を事例とする。従来の祭の原理とは異なる「競い」の場に立ち、集団内・集団間で相関的に芸の巧拙が生じていく過程について考察していく。

中里亮平(長野大学非常勤講師)

「綱引きからみるスポーツと民俗の間」

 なぜ、スポーツ社会学やスポーツ人類学という研究分野は存在するが、スポーツ民俗学という研究分野は存在しないのか。その理由については様々な解釈が存在するが、本発表では同じく近代に見出された概念である民俗とスポーツの差異から、民俗とは何だったのかという問いについて再考する。
 事例として取り上げるのは、綱引きである。綱引きは、祭礼などで行われる民俗行事としての綱引きとスポーツとしての競技綱引きが共存している点で、この問題について考える際に恰好の題材である。勝敗を巡って明確な形で競い合う点では同一でありながら、その勝敗の基準や様式などにおいて異質である2つの綱引きの差異から、競い合うことからみえる民俗について考察したい。

田邊元(富山大学芸術文化学部)

「「技法の復興」を目指す人々」

 我々が身近に親しむ、いわゆる「スポーツ」は近代に誕生したものである。「競技」として行われる今日のスポーツの在り様は、時として「スポーツ化」とされ批判の対象にもなる。その代表的な種目が武道である。武道は、自らの在り方として競技的に行われることを時に否定し、今日に至っている。
 本報告では、今日では民俗芸能として行われる武術を対象に報告を行う。その担い手たちは、「スポーツ化」し競うような武道の姿を否定的に考え、そうではない姿を思い描き、失われた技法の「復興」を目指す。このような「復興」において承認される技法を通じて、「競う」・「競争」といった現象を逆照射し、考察していく。

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