開創1200年記念事業
「木山寺・木山神社の宝物とその歴史」展
~3日間限定!最新の調査成果をもとに未紹介資料を一挙公開~
開催趣旨
木山寺と木山神社は、美作国西部にあって隣接して所在し、古くは、所在地や由来など歴史を同じくする、神仏混淆の寺社でした。今年、平成27年は、開創した年から数え、おおよそ1200年を迎える節目の年とされております。
本展示は、この記念すべき機会に向けて行った木山寺所蔵典籍を中心とする学術調査で明らかとなった中世期写の典籍20点余りのほか、本調査がきっかけとなって発見された江川三郎八の建築を証す棟札、奥宮拝所造営開始時に発見された神像群など、近年のこれらの寺社での調査成果を一挙に公開するまたとない機会となります。深遠な中国山地奥深くで展開されてきた神と仏への祈りの世界を体感していただきたいと思います。
基本情報
- 会期
- 2015年10月9日(金) ~ 10月11日(日)
- 観覧時間
- 10:00~16:30
- 会場
- 木山寺 客殿・大師堂[アクセス]
- 主催
- 文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B) 研究課題番号:15H03181 研究代表者 中山 一麿(大阪大学)
- 共催
- 医王山感神院木山寺(高野山真言宗別格本山)・木山神社(南三郷総氏神)
- 協力
- 岡山県立博物館・真庭市教育委員会
- ダウンロード
- 本展案内チラシ
- お問い合わせ
- 本サイトのお問い合わせフォームをご利用下さい。
主な展示品
-
絹本著色阿弥陀三尊十仏来迎図
岡山県指定重要文化財
南北朝~室町時代
木山寺蔵※10日、11日のみの展示となります
-
阿嚕力迦経[神護寺経]
平安時代末期写
木山寺蔵 -
木造門客人神立像[阿形]
岡山県指定重要文化財
応永3年
像高 156cm
木山神社蔵 -
御神像群
鎌倉・室町時代
木山神社蔵 -
呉子
室町時代末期写
木山寺蔵 -
赤松義則寄進状
応永18年
木山寺蔵 -
棟札
元禄2年
木山神社蔵
- 絹本著色遣迎二尊十王十仏図(岡山県指定重要文化財、鎌倉時代、木山寺蔵)
- 絹本著色十三仏図(岡山県指定重要文化財、室町時代、木山寺蔵)
- 客殿障壁画[古市金餓、岸良、鶴沢探索等](江戸後期、木山寺蔵)
- 木山寺中世文書(真庭市指定重要文化財、木山寺蔵)
- 聖教類(新出中世期写本約20点、他)
- 棟札類(江戸時代、木山寺蔵・木山神社蔵)
リレー講座
「神と仏に祈る山-木山寺と木山神社-」
- 日時:
- 2015年10月10日(土)14:00~(開場 13:30)
- 場所:
- 木山寺客殿
- 定員:
- 50名(事前申込不要)
- 資料代:
- 300円 ※当日会場にてお支払い下さい。
- 神仏習合思想の変遷と木山寺・木山神社
伊藤聡(茨城大学人文学部教授) - 木山をめぐる寺史と神社史-地域史的な観点から-
森俊弘(真庭市教育委員会主幹) - 木山神社の神像と木山寺の遣迎二尊十王十仏図
和田剛(岡山県立博物館学芸員)
司会・コーディネーター:中山一麿(大阪大学)
会場への交通・アクセス
医王山感神院木山寺
〒719-3142 岡山県真庭市木山1212 TEL 0867-52-0377
- 中国自動車道 落合ICから7km、車約15分
- JR姫新線・美作落合駅下車、タクシー約20分
- 中国ハイウェイバス・落合IC下車、タクシー約15分
※駐車場あり(約100台)。高速バス・JR(美作落合駅)等をご利用の方は、送迎またはタクシーをご利用ください。
エンゼルタクシー TEL 0867-52-7611
※大阪から落合インターまで高速バスが走っています。詳細は阪急高速バスのサイトにてご確認ください。
送迎バスについて
10月9日(金)、10日(土)は高速バス 落合インター停留所・JR美作落合駅からの送迎バスを運行いたします。
10月9日(金)
- 10:35 落合インター →10:40 美作落合駅 →木山神社 里宮(※30~40分停車/自由散策)→11:50 木山寺着
- 13:20 美作落合駅 →13:55 落合インター →14:20 木山寺着
- 17:10 木山寺発 →17:30 落合美作駅
10月10日(土)
- 10:35 落合インター →10:40 美作落合駅 →木山神社 里宮(※30~40分停車/自由散策)→11:50 木山寺着
- 13:20 美作落合駅 →13:40 木山寺着
- 17:10 木山寺発 →17:30 落合美作駅
10月11日(日)
木山神社鎮座1200年「奥宮修繕事業竣工奉祝祭」開催の為、木山神社里宮~木山寺間で随時バスが運行されます。
木山寺・木山神社の沿革と概要
木山寺と木山神社(惣社・牛頭天王社)は、かつては神仏習合による一体の寺社で、それぞれの本尊と祭神も、薬師如来とその垂迹である牛頭天王(素戔嗚尊)ということで、元々は祭祀・礼拝の対象を同じくしています。
両寺社は、標高430mの木山山上にあって、古くから宗教の聖地として、多くの人々の信仰を集めてきました。一帯は郷土自然保護地域に指定されている自然環境の美しい霊峰で、老杉古柏も鬱蒼とした静寂な景色は、情緒ある風情を醸し出しています。今も両寺社ともに、多くの願いを叶うとして、広く帰依・崇敬を受けています。
【開創伝承】
木山寺が創建されたのは、弘仁年中(810~24)のことと伝えられます(「作陽誌」)。同寺の縁起によれば、同6年(815)、高祖弘法大師が美作の地を訪れた際、木樵姿の翁(薬師如来)に導かれて、寺院を建立したとしています。一方、木山神社は、同7年(816)、京都祇園の八坂神社の御分霊を祭祀したとしています(延喜7年(907)とも)。今回は、これらの説によって開創1200年の根拠としています。
【中世の木山】
弘安・永仁(1278~99)に木山寺の中興があったと伝わり、応永18年(1411)、同24年には美作国守護・赤松氏が南三郷(栗原・鹿田・垂水郷)の「惣社」に社領を寄進、別当・神官に社殿の修理や祭礼の実施を命じています。
また、天文8年には、美作国に侵攻した出雲国の大名・尼子詮久が、「木山感神院」の得ていた過去の禁制の内容を保証し、「木山寺領」に対する課役等を改めて免除しています。
さらに永禄9年(1566)には、「普善寺」の宝月坊が、隣山神林山の本堂再建の勧進を行っています。「普善寺」は、木山寺の別名で、他に僧房として、西光房・東泉房・新房・松本房・中蔵房・向房・南光房・東林房・東蔵房・竹中房・檀房・西房の12房があったとされています(木山寺文書、「作陽誌」)。
こうした史料などから、中世の木山には、南三郷の「惣社」である「木山感神院」を中核として堂社が散在しており、その内「普善寺」が、諸堂や僧房からなる「木山寺」の本房、かつ「惣社」「木山感神院」の別当(社僧)を務め、祭祀が行われていたとみられます。
【堂社の被災と再興】
しかし、天正5年(1577)12月に、社前の随神門を残して堂社が全焼。同7年末に始まる備前宇喜多氏と安芸毛利氏の抗争でも、毛利氏の陣が構えられました。そうしたなかながら、同8年3月には本殿の立柱が行われ、翌9年夏に落成。併せて仏堂の再建も進められたとみられるものの、再興されなかった堂社は多く、西房を除く多くの僧房も廃絶したままとなったとされています(木山寺棟札、「作陽誌」)。
【近世の木山】
その後、当地の領主となった宇喜多秀家からは、木山寺山林の濫伐を禁じる文書が重ねて出されています。また、慶長9年(1604)には、津山藩主・森家から木山寺に宛て、当寺領敷地と菜園畠27石余りが、次いで70石が寄進され、山林の濫伐を禁じるなど、厚い保護が加えられています。その後は勝山藩主・三浦家からも、改めて寺領や宝物が寄進されるなど、篤い信仰が寄せられています(木山寺文書、「作陽誌」など)。
なお、木山神社の使いしめという75匹の「木山狐」も霊験あらたかな存在として有名で、狐使いの修験者・善覚房が、京都伏見稲荷から稲荷大明神を勧請、正徳年間(1711~5)に一社を建立し、今も寺社それぞれで祀られています(「作陽誌」、『落合町史』など)。
【近・現代の木山】
長年にわたって神仏混淆の寺社として続いてきた木山の寺社も、明治初年に行われた神仏分離政策によって、寺院と神社として完全に別れることになりました。双方で敷地を分割し、牛頭天王社では、社号をはじめ、祭神・祭祀・祭具などから仏教色を排除して、社号を木山神社と改めました。また、木山寺では、別に鎮守殿を建築し、牛頭天王と善覚稲荷大明神を独自に祀るなどしています。
さらに木山神社は、昭和32年(1957)、山麓に本殿を新築し、拝殿・社務所、善覚稲荷神社など多くの社殿を移築しましたが、旧本殿は「奥宮」(おくみや)として現地に残され、木山寺の諸建築とともに、往時の威容を山上でよく伝えています(『木山神社由緒記』など)。
同時開催イベントのご案内
開創1200年記念事業「木山寺本堂鎮守殿の秘仏ご開帳」
10月9日(金)~11日(日) 10時~16時 於 木山寺本堂
※鎮守本尊(木造牛頭天王坐像、木造善覚稲荷坐像)を特別公開します。
木山神社鎮座1200年「奥宮修繕事業竣工奉祝祭」
10月11日(日) 9時45分~ 於 木山神社奥宮・里宮
協力事業主様
- インフォマネージ
日本経営協会主催のファイリング・デザイナー検定、電子ファイリング検定、公文書管理検定の資格取得を目指す方をサポートしている会社。 - 有限会社エンゼルサービス
岡山県真庭市にあるタクシー会社。介護タクシーなどのサービス、貸切バスや日帰りツアーなど幅広く行っている。 - 写真工房えむ
古文書を中心に多くの文化財撮影を行ってきたプロカメラマン。 - 日本学術研究支援協会(JARSA)
日本の歴史文化に関わる学術情報を掲載するポータルサイト。本サイトです。 - 真庭いきいきテレビ(MIT)
地域(真庭市エリア)に密着した情報をリアルタイムに分かりやすくお伝えする「わがまちのケーブルテレビ局」。 - 真庭リバーサイドホテル
旭川のかたわらにたたずむリゾート型ホテル(落合インターより3分の好立地)。