特別企画展「女性たちの立山」近世から近代へ…

 立山憂茶羅には多くの女人の姿が描かれています。江戸時代、宿坊家の衆徒たちは絵解きをするなかで立山という場に根ざした女人救済思想を説き、救いを求める女人たちの心をとらえました。江戸時代後期には、立山に心を寄せた女人たちが、立山の山中や山麓の宿坊集落に血盆経や地蔵菩薩像を奉納・寄進したり、立山へ参詣する動きが強まりました。一方、同時期には、立山信仰的世界とは別の次元で立山山頂に近づく女人の旅姿色目立つようになりました。女人もひとしく山頂間近の立山温泉に行けるようになり、万病治癒の温泉は男女群集の賑わいをみせました。日本各地の霊山と同じように立山は女人禁制の山でしたが、救いと癒しを求める女人たちを惹きつける霊山になったのです。

 明治維新後、女人結界が撤廃され、立山と女性との新しい関係性の時代がはじまりました。女人禁制の因習は根強く残りましたが、夫婦や家族そろっての立山登山が
行われ、明治期・大正・昭和戦前期の新聞雑誌は女性がごくふつうに山頂までの立山登山をするようになった様子を生き生きと記しています。大正期以降には立山で女学校登山がきかんに実施され、近代における立山と女性との新しい関係性を象徴しました。

 本企画展は女性にスポットをあて、近世から近代への時代の大きな転換期における立山と女性との関係性を探るものです。ともすれば歴史のなかで女性像は見えにくくなっているのですが、立山の歴史と文化を理解するためには女性への着目は欠かすことができません。展示を通して、立山の豊かな過去に思いをはせていただければ幸いです。

(本展覧会チラシより引用)

開催概要

会期
2015年7月18日(土) ~ 8月30日(日)
開催地
北陸・甲信越 > 富山県
会場
富山県[立山博物館][アクセス
〒930-1406 富山県中新川郡立山町芦峅寺93-1 TEL 076-481-1216
開館時間
9:30~17:00(入館16:30まで)
休館日:7月21日(火)、27日(月)、8月3日(月)、10日(月)、24日(月)
公式サイト
主催
富山県立山博物館
協賛・後援等
【後援】北日本新聞社・富山新聞社・北日本放送・チューリップテレビ・富山テレビ・NHK富山放送局
備考
観覧料:一般 200円、大学生 160円
ダウンロード

主な展示資料

  • 延宝二年一山旧記担(芦峅寺一山会蔵)
  • 立山禅定人止宿覚帳(芦峅寺大仙坊蔵)
  • 立山手引草(岩峅寺延命院蔵)
  • 立山御嫗尊御宝前円鏡勧進記(個人蔵、当館寄託資料)
  • 女人講関係用具(当館蔵、国指定重要有形民俗文化財)
  • 多枝原温泉新道作立由来(個人蔵、当館寄託資料)
  • 大正七年立山登山案内図(富山市郷土博物館蔵)
  • 文政三年立山御嫗尊別当奉加帳(愛知県半田市立博物館蔵)
  • 寝覚の文(個人蔵)他

関連イベント

担当学芸員による企画展解説会

日程:7月18日(土)・25日(土)、
8月1日(土)・15日(土)・22日(土)・29日(土)
時間:いずれも14:00~15:00

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