特別展「毘沙門天 -北方鎮護のカミ-」
四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)は、須弥山世界の四方にいて、仏教世界や仏法を守るカミです。このうち北方を守護する多聞天は、「毘沙門天」の名で単独の像としても造像、信仰され、四天王のなかでも特別の存在でした。ただし日本においては、たんなる仏教世界の守護神であるにとどまらず、仏教修行者を守り、これに福を与えたり、念仏の信者を保護したりする存在であるとも信じられました。このような福徳神的な性格は、後に七福神のなかの一尊である毘沙門天のイメージにつながってゆくものと思われます。
また、また、『法華経』のなかの「観世音菩薩晋門品」には、観音菩薩が衆生を救うために三十三の姿に変化することが説かれていますが、そのなかに毘沙門天への変化も記されるため、早くから観音信仰と毘沙門天信仰とは密接な関係がありました。なお経典には毘沙門天の子として善膩師童子が説かれますが、日本では古くより吉祥天が毘沙門天の妻であると考えられたため、この三尊の組み合わせも見られます。さらには、中国・唐時代の西域に護国のカミとして出現した伝説を有し、足下に地天女と二鬼の侍す姿に特徴のある兜跋毘沙門天像、あるいは密教における特殊な修法を背景に登場する双身毘沙門天像も見逃せません。
本展には、このような多彩な展開を遂げた日本の毘沙門天像のなかから、選りすぐりの優品の出陳がかないました。これにくわえ、近年新発見された作品やそれらに関する新たな知見をまじえつつ、魅力にあふれた毘沙門天像の世界に皆さまを誘いたいと思います。
開催概要
- 会期
- 2020年2月4日(火) ~ 3月22日(日)
- 開催地
- 近畿 > 奈良県
- 会場
- 奈良国立博物館 東新館・西新館[アクセス]
〒630-8213 奈良市登大路町50番地 TEL 050-5542-8600(ハローダイヤル) - 開館時間
- 9:30~17:00
※毎週金・土曜日は19:00まで
※入館は閉館の30分前まで
(同時期に開催の特別陳列「お水取り」および名品展は休館日と開館時間が異なります。 - 休館日
- 毎週月曜日、2月25日(火)
※ただし、2月24日(月・振休)は開館 - 公式サイト
- https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2020toku/bishamon/bishamon_index.html
- 主催
- 奈良国立博物館、朝日新聞社、NHK奈良放送局、NHKプラネット近畿、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
- 協賛・後援等
- 【後援】奈良テレビ放送
【協賛】ライブアートブックス
【協力】日本香堂、仏教美術協会 - 備考
- 観覧料金:一般 1,500円、高校・大学生
1,000円、小・中学生 500円
※ この料金で、同時開催の特別陳列「お水取り」および名品展(なら仏像館・青銅器館)もご覧になれます。 - ダウンロード
関連イベント
公開講座〔聴講無料〕
2月15日(土)
「毘沙門天の源流を探る-インドからガンダーラ・西域へ-」
宮治昭氏(名古屋大学/龍谷大学 名誉教授)
2月29日(土)
「唐宋時代の毘沙門天像-王朝の守護神-」
佐藤有希子氏(奈良女子大学文学部准教授)
3月14日(土)
「日本における毘沙門天像の展開」
岩田茂樹(奈良国立博物館上席研究員)
時間:13:30~15:00(開場 13:00)
会場:奈良国立博物館 講堂
定員:各回194名
※各日12:00から講堂前にて、入場整理券を配布します(先着順、お1人様につき1枚)。入場整理券の受取の際には、本展の観覧券もしくはその半券、奈良博プレミアムカード等をご提示ください。
※入場受付は講座開始後30分で終了します。